娘を売った父
アトピーが酷かった私を父は親として心配してはおらず、数ある患者の一人としか見ていなかったようです。それは父が出版した本に私の症例について酷い書き方をしたことでわかりました。
普通親なら自分の娘がアトピーでボロボロの肌だったことなんて隠しておいてあげたいと思うはずです。
ましてやその時はもうアトピーと分からないくらいに良くなっていたら尚更。ですが父にはそんな気さらさら無かったようです。
「お前には飯の種になってもらうから。(本の売上で稼がせてもらうから)」そう言って私のアトピーが酷かった時のことを本に書きました。
その本が出版されたのは2008年でした。名字だけは仮名にされていましたが下の名前は本名がそのまま使われていました。
父が自身の症例を仮名 [田村豊] と書き、私の症例を [田村陽子] と書いたので親子ということはバレバレ、仮名の意味はなくすぐに私の事だと特定されました。
そこには酷い炎症で顔が腫れ上がったり、乾燥で白く粉をふいていて、13日の金曜日に出てくるジェイソンみたいだったとイラスト付きで書かれていました。
そんな風に思われていたんだというショックとその事実が出版物として公に発信されたショックで私は深く傷つきました。
よく自分の娘をそんな風にかけるなと、本当に心が無い人だなと思います。あれから10年が経ちますが今もジェイソンの写真を見る度、悲しさと父への怒りが込み上げてきます。
当時私は結婚直前でした。夫となる人にそんな時期があったと知られたことが悲しくて苦しくて居た堪れない気持ちでした。
本屋のコーナーで見かける度この本が全てこの世から消えて誰の目にも触れなければ良いのにと願いました。
父はそんな私の気も知らず大型書店○ュンク堂に平積みで置いてもらったなど嬉しそうでした。
本には父が産業医として働く先の患者さんのことや父が作った会社の社員のことなど事細かに書かれ、守秘義務違反で訴えられるのでは?とこっちが気を揉むほどでした。
問題にならなかったのは誰も読んでないからか、私を含めみんな逆らうのが怖くて言えなかったからだろうと思います。